僕の原点は渋カジ。
アメカジ、渋カジが流行したのは
1985年~1992年の7年間。
親世代の懐は戦後から現在の間で
最も潤っていた。
団魂ジュニア世代にとってもバブルだった。
自分は最先端で流行を作っていた人間ではない。
チームにも属してはいなかった。
それでも放課後は渋谷でブラブラ。
港区、青山、松濤とかで生まれ育った子たちは
洗練されていて街にはハッとするほど
カッコ良い子がいて 刺激的な毎日を過ごした。
裕福な子たちが裕福な遊びをして
渋谷で新しい文化が生まれた。
後に彼らのスタイルが雑誌で紹介され、
いつしかそれが全国的な流行になり
渋カジと呼ばれるようになった。
履けば履くほ味わいが増すワークブーツ。
レッドウイングのエンジニアが主役だった。
リペアをすれば長く愛用することができる
デニムやワークブーツ。
洗えば洗うほど風合いが増し丈夫でへたらない
ビックマックやプレンティスなどの
ダンガリーシャツ。
今までのデザイン重視でデリケートな
DCブランドと違い魅了された。
Tシャツはヘインズ3枚パックの赤ラベル。
インナーとしてではなく、
コーディネイトの主役とし着こなす。
スウェットパーカーはフルジップが人気。
フードの紐は抜くのがお約束。
着るだけで男らしくなるバンソン。
アメリカのバイカーを見本とした
ハードアメカジは、
日本の不良史上、最も男らしく
不良っぽいスタイルだと思う。
ライダースやエンジニアブーツなど
一部のアイテムは 高額だったが
その他のアイテムは手軽に買える
アイテムも多くDCブームの時のように
カードのリボ払いで洋服を買うような
不健全さはなかった。
渋カジは団塊ジュニア世代のモノを選ぶ
価値観を形成した。
今も自分がモノを選ぶ基準になっている。
今はファストファッションの時代。
渋カジ世代ほど若い頃に洋服に
お金を使った世代はないと思う。
それはバブルで異常だったかもしれない。
後先考えずに洋服にお金と情熱を
突っ込んできた世代の人間としては、
今の若者の洋服に対する情熱が低いのが
寂しく感じる。
背伸びして買ったもの、
苦労して手に入れたものは
人生に深みを与えてくれる。
たぶん渋カジ世代は思い入れのあるモノを
今でも大切に所有していると思う。
僕が提案しているのは斬新的に
新しいデザインではない。
あの頃のファッションの熱を、
現代の生活様式に合うようにアレンジして
伝えたい。
あの頃の匂いがあって新鮮さもあるモノ。
そんなブーツに共感してもらえれば幸いです。